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第44節:湘南戦(観戦後)

後半ロスタイム。重田の足はおそらく限界、とうとう信義も足がつってきた。
右足一本でボールをコントロールする重田と、その精一杯のパスを受けようと必死になって走る信義。
もっとこの2人のプレーを見たい気持ちと、壊れる前に、早くピッチの中で試合を終えてあげてほしいという、矛盾した感情。そう、この感情は記憶がある。

そしてホイッスルが鳴った。

1つの歴史が終わったと思った。あの時ほどではないけれど。


今回は事情により、バックス段度最前列。試合の流れはわかりにくいが、臨場感をたっぷり味わえる場所である。ほぼ選手と同じ目線でフィールドを見るのだけど、上から見るのとは大違い。サッカーは見る場所によって楽しみ方が色々あるなあと実感した。

本日は最終節ということもあるのか、監督が仁義を切りにきた。一度目は効果満点だったが、今回はどうだろうと眺めていたら、拍手で終わったところを見ると、今回も効き目があった模様。まあ、当事者が納得していれば別にいいのだが。

スタメンに信義、サブに重田。このチームが、創設以来の選手をきちんとリスペクトしたというのは、ちょっと私にとっては意外だった。そう、この試合の勝敗は順位に関係がない。過去を捨て去る選択をした以上、過去にリスペクトすることは、新たな道を進む準備として必要なことである。

しかし残念ながら、重田の左足は壊れているようである。
挨拶後、皆がボールを回しはじめても、彼は黙々と走っている。走り飽きた頃にやっとボールを触る。但し右足だけで。自分の左に来たボールも右でトラップし、右で蹴る。いつもならやるダッシュもする気配なし。
耳には入っていたが、目の前の彼の姿、彼が決断せざるを得なかった現実を、まざまざと見せ付けられた。
これでは、ロスタイムに出場するのが精一杯だろうと思った。

前半は横浜ペース。上から見ていないのでよくわからないのだが、ボールは回るし、すぺーすは突けるし、判断も早かった。そしてシルビオのゴール。
シルビオのシュートは素晴らしかった。パスのスルーも「なんでわかるのか」と思うような絶妙さ。スペースへのパスミスも、サイドを売りにする強いチームなら当然いる(間に合う)はずの場所へのものだったり。
使いこなせれば、すごい武器になる選手だと思うのだが、本当にもったいない。
しかしあれだけいいプレーを続けながら追加点が取れず、終了間際に失点して同点にされてしまう。

後半からは湘南ペース。やはり「横浜の前半」を1-1で切り抜けられたのが大きかった。
横浜は、早川と信義が今一歩。特に早川はいつもよりかなり悪く、赤寸前のプレーもいくつか。中島が痛んだので3バックにしてCB右に富永を入れたが、これまた機能せず。湘南はサイド突破をよく狙うので、富永が引き出されるのだが、サイドでは彼はただの人。攻撃時も折角厚くした中盤を使わずに前へ蹴ってしまうので、セカンドボールを拾われて、の無限ループ。

1-4で試合が決した感のある後半30分、重田が右SHでin。
もしこれが1-2くらいなら、交代は北村で重田はロスタイムだったかもしれない。引退試合を勝利で飾れなかったが、彼にとっては幸福な15分だったかもしれない。

走れない、蹴れない、左でトラップできない、競えない。本来であれば公式戦であるリーグ戦、出場を許されるコンディションではない。しかし、右足一本でトラップし、シンプルにボールを捌き、パスを出し、カバーをする。最低限のプレーだが、彼が今成し得る最高のプレー。震えが止まらなかった。
そしてお約束の、信義に出すスローイン。

笛が鳴り、気がつくと城と重田が抱き合っていた。

信義と重田の手を握り、感謝の言葉を言うことが出来た。
これで、三ツ沢でやり残したことが無くなったような気がした。

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