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横浜FCの価格政策をいじる~(6)総括

はあ、疲れた。この長さは読む方も迷惑だわな……。
「盲人象を語る」状態が続いていますが、これで最終章ですからご勘弁を。

全体の傾向を見る場合、エルゴラで奥寺社長が語った「05年度はその数字(6億円)よりちょっと良くなったくらいでしょうか」という発言がポイントとなります。
カズ効果やスポンサー追加もあった昨年が、なぜ微増なのでしょうか。ここに今年の価格政策との関係がありそうです。

<値上げの背景>

一昨年より昨年は合計で40,000人弱、三ツ沢開催分をカズ抜きで換算計算しても年間5,000人(補正後)程度増えており、普通に考えればそれなりの増収となっているはずです。仮に単価1,500円で4万人だと、昨年は6千万円の増収になったはずです。
また昨年はシーズン途中でスポンサー増えたわけですし、カズ関連のグッズ販売効果もあります。もろもろで1億円近くの増収になったとしても、不思議ではありません。

しかしそれでも、社長の発言を信じるならば、売上はあまり増えていないようです。
社長の発言を素直に捉えると、カズ効果がなければ減収になった可能性すらあったと言えそうです。カズ効果で、入場料収入だけもざっと 3,000人×8試合×@1500円=3,600万円 の増収があったはずですし、(繰り返しになりますが)シーズン途中でスポンサーが増え、カズ関連のグッズ販売効果もあったはずですから。

ということは、一昨年より昨年は「客単価が下がった」「スポンサー料が下がった」という事情があったのかもしれません。カズ効果がなければ、「じり貧」を印象づけられた年になっていたかもしれません。

そう考えていくと、カズ効果「前」の昨年前半における観客微増(1試合一昨年比+500人)についても、サポーターや一見客ではなく、招待客による増加だったと推測できますので、金になる客は増えていない、むしろ減っていると言えるかもしれません
また昇格チャンスと言われた昨年でも11位だった訳で、ヴェルディ・神戸・柏のJ2入りかつ鳥栖や札幌の台頭など、今年はさらに成績的にも厳しい年になりそうです。スポンサー収入の面でも、ハンデとなるのは間違いありません。
もちろんカズ効果は今年もそれなりに期待できますが、インパクトのあった昨年ですら「微増」だったわけで、過剰な期待は禁物でしょう。今年は兎も角、来年はじり貧になる可能性も高いわけですから。

こうしてみると「昨年同様の施策では収入の増加を期待できない」と経営陣が判断しても、ある面仕方ありません。収入が増加しないことは、成績向上やチーム基盤の整備が思うように進められない、ということに繋がります。「大化け選手」「辣腕監督」「大スポンサー」「練習場の寄付」といった奇跡を期待することは、サポとしては有りですが、経営には馴染みません。リスクとそのリターン期待値を勘案し、施策を決めるべきです。


<値下げという施策は選択可能なのか>

ベクトルとしては、「昨年施策の維持」「値下げによる需要喚起」「値上げによる増収」の3つが主に考えられます。そのうち、「値下げによる需要喚起」はこのチームにとってリスクが高すぎます。

例えば半額に値下げした場合、(経費を無視したとして)入場者数は倍にならないと収入が同じになりません。しかし半額にしたら倍の入場者数になるのでしょうか。しかも年間を通して。

観客にとっては、入場料が半額になっても、観戦に必要な費用は半額になりません。現地の飲食費は考慮しないとしても、交通費は同額かかるわけです。また、観客が多くなるためにはこのチームや試合の情報を知っている人が多いことが条件になりますが、コンテンツが一般人に魅力があるか、周知が行き届いているか、リピート率は高いか、などいくつかのハードルがあります。
特にリピート率は、1年を通して倍の入場者を維持するための大きなファクターです。

しかも、カズ出場時の入場者数平均は8,000人弱ですから、倍となると16,000人になるわけで、三ツ沢では開催不能となります。「カズ前@三ツ沢」では4,300人ですから、倍だと8,600人。「カズ」の動向により試合会場を検討する必要があるという面倒な状況となり、かつ選択を間違えると(横国開催で)経費が増えてしまうだけになるなど、リスクが高くなります。
さらに、三ツ沢で開催する場合は、スポンサー向けの招待席が不足するという問題があります。スポンサーから広告宣伝面での増収は期待できるとはいえ、招待券による収入が減るのは大きなリスクです。

そして、経営基盤の弱いこのチームが収入維持に失敗した場合、チームの存続問題に直結してしまいます。
中長期的には、ファンを増やし固定客を増やすことは重要ではありますが、今「値下げ」を選択することはリスクが高すぎると思われます。


<稼ぐなら固定客の多い今年だが……>

今年は、「カズ効果」「Away客の増加」により、固定客が増えます。来年はカズ効果もなくなり、J2のチーム構成によってはAway客の減少という可能性もあります。
ですから、値上げにより増収を計るつもりがあるのなら、今年がチャンスです。固定客からの増収が見込め、追加施策によってはクラブメンバーからの増収も期待できます。

しかし以前に「ずいぶんな博打ですねえ……」と書いたように、「値上げ」にも大きなリスクがあります。値上げという施策は、ファン層を広げる一歩である「一見客」の足を遠のかせる施策でもあるからです。その意味で、「収入の先食い」と批判する人もでてくるでしょう。
固定客は永遠に固定客ではありません(……我が家が良い例ですね)。一見客から固定客への移行がなければ、固定客は減ってしまいます。ですから、この施策を実施する場合は、固定客がじり貧にならないような対策が必須となります。値上げにより固定客まで減ってしまったのでは、将来の収入が減少するわけで、経営基盤の安定に繋がりません。

しかし、固定客を維持・増加させる施策というのは、難しいものです。「勝てば増えるか」「内容が良ければ増えるか」というと、ジェフのように「思ったほど増えない」というケースもあります(フクアリ効果はありますが)し、新潟のようなタダ券ばらまき作戦も、地域により効果の差は大きいでしょう。横浜の場合は、何をすれば増えるのでしょうか。

昔、横浜フリューゲルスが見た壁に、このチームも今向き合っているのではないでしょうか。

今回の価格政策変更は、「維持」から「成長」の大きな路線変更と言えるでしょう。大きな賭です。しかしそれが、勝算のある賭なのか、一か八かの賭なのかは、私にはわかりません。
その賭を成功させるための英知は備わっているのか、壁を破る準備はできているのか、二の矢三の矢は用意されているのか、リスクヘッジはできているのか。答えはおいおい見えてくることでしょう。

今私は横浜FCのサポーターではありませんが、この賭の行く末を見守っていきたいと思います。

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