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意図された省略?

たまたま昼に、TVでライブドアの話題で、パネルを使って資金の流れを解説していました。どうやら、私が以前書いた「投資事業組合の利用」についての模様。

別の意味で、なかなか興味深い番組でした。

パネルでは、以下のように説明されていました。数字までは覚えていないので、説明意図を歪めないよう私が数字を選びました。

a)投資組合が「10億円」で買収対象会社の株式を購入する

b)ライブドアが株式交換で買収対象会社の株式を投資組合から取得するが、買収対象会社の価値を過大評価し、10倍の株式を割り当てる
    ライブドア→(本来の10倍のライブドア株式)→投資組合
    ライブドア←(買収対象会社の株式)←投資組合

c)投資組合からaの10倍の「約100億円」が海外経由でライブドアに還流する


で、a)の「10億円」とc)の「100億円」という金額を見比べ、「ほーこれが錬金術なんですね」となるわけです。
が、TVでは、ここでライブドアへの還流を「金額」で表しているにもかかわらず、b)の「ライブドア→投資組合」の流れを「株式」でしか説明していないところがポイントです。

なぜ、bだけ「金額」で説明しないのでしょうか。

実は、b)を金額で説明すると、「ライブドア→100億円相当の株式→投資組合」となります。ですから、ライブドアから見ると、「ライブドア→100億円相当の株式→投資組合→(海外経由)約100億円→ライブドア」となり、差し引き0となります。増えてないのですから「錬金術」の説明には不十分です。
(投資組合や買収対象会社の扱いはここでの本質ではないので省略します。TVでは論点になっていませんでしたので)

ですから、「錬金術だからけしからん」という切り口の説明としては全く不十分です。おそらくそのことを、その番組に出演していた、経済がわかっているコメンテーターは気づいていたのでしょう。説明の流れを無視して「マネーロンダリング」「虚偽の報告」に絞ってコメントしていましたね。さすがです。
ほかに出演していた有名なコメンテーターは、見事に引っかかっていました。

ではなぜbの金額を「省略」したのでしょうか。

もちろんSの想像に過ぎませんが……「意図的に省略」したと思いました。

bで金額を見せた場合と見せなかった場合、視聴者の受ける印象は全然違ってきます。前者だと「10億円→100億円」の錬金術ですが、金額を入れてしまうと一見「100億円相当の株→100億円」にしか見えませんので、(金額が増えているわけではないので)視聴者には何が悪いのかわかりにくくなります。
しかし、一部の情報を隠し、「10億円→100億円」を視聴者に意図的に意識させることで、「おおそれは悪い奴だな」と思わせることができます

……そういえば、今マスコミが注力している「香港のダミー会社」の話も、それだけでは別段珍しい話ではないですが、「悪い奴」という色眼鏡をかけさせることで、ニュース価値がアップしますね。

もちろん、堀江氏はコメンテーターが指摘しているように「マネーロンダリング」「虚偽の報告」の部分でおそらく「悪い奴」なのでしょう。だからといって、「悪い奴」という結論に行き着くために、視聴者をある意味「だますような方法」を採って良いわけではないと思います。

マスコミは、非上場子会社の財務内容が公開されないことに批判をしています。そして「虚偽の報告」はもちろん批判されるべきです。情報を受け取った人が実体を歪めて理解してしまうから。しかしその意味では、マスコミが情報を取捨選択し、あるいは意図的に隠したり誤解されるような報道をすることも、ある意味同レベルの話なのではないでしょうか。

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