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深響洞

コントラバスという楽器があります。バスというからには低音ですね。オーケストラやジャズステージで見ることのできる、背丈ほどある弦楽器です。
「バイオリンの音」「フルートの音」といった高音域の楽器は、人気もあり、皆注目します。声楽で言えば、ソプラノですかね。では、コントラバスの音って? ……なんかボンボンリズムを刻んでいたりするくらいしか印象無かったりしそうです。低音系は見せ場が少ないんですよね。コーラスでもベースだと、筑波山麓合唱団(デューク・エイセス)という曲にある「コンダクターはガマガエル~」が一番有名なフレーズだったりして。

しかし、低音というのは実に魅力的です。豊かな響きは、耳にだけでなく、全身を震わせる力と幅があります。
「深響洞」というユニットは、低音を司る楽器であるコントラバス「だけ」で音楽を作ってみようという、クリエイティブな奏者の集まりです。先日、そのコンサートが目黒パーシモンホール(小ホール)で行われました。

私は学生時代、合唱サークルで活動したり、アカペラユニットの編曲をしていました。もちろんそれはお遊びの部類ですから、プロの仕事を、ましてや門外漢の弦楽器を語ることはおこがましいのですが、ここは門外漢が語るサイトでありますので(笑)

で、合唱やアカペラ(ゴスペラーズみたいなやつですね)における「低音」ってのは、重要で厄介なものです。ハーモニーに「力」「広さ」を与えるためには欠かせないアイテムなのですが、低い音のパートが多いと音が濁ってしまいます。下手で音程が定まらないと、なおさらです。

低音だけで和音を出すと、綺麗に聞こえなかったりするので、私が編曲するときは、低音とその他の音は離してしまう(極端に言えば、低音は1つ、高音は3つのように低音を隔離する)なんて姑息なことを時々やっていました。
例えば、ドミソの和音だと、低音は下のド、高音は上のドミソとして、低音と高音の間を1オクターブ開けるわけです。これを、低音でドミソとやってしまうと、下手なグループだと汚く聞こえてしまいます。

あと、これは声楽特有かもしれませんが、低音パートでは音程が取りにくいという傾向があるようです。なんだか下ずる(本来の音程より低く音を出してしまう)んですよ。まあ素人ですから、という話なのかもしれませんが。

話を戻すと、
低音を司るコントラバスだけでハーモニーを奏でるということは、低い音のパートが必然的に多くなりますので、綺麗な(違和感のない)ハーモニーを実現するには、編曲の面でも、演奏技術の面でも、困難が多いはずです。
しかも、通常はオーケストラなどで演奏される曲がほとんどですから、いわゆるメロディー部分である中~高音域も必要となってきます。しかしコントラバスは通常、そのような高い音をオーケストラで要求されません。普段あまり練習されないプレーを要求される、サッカーで言えばストッパーがドリブル突破を要求されるようなものでしょうか(笑)

しかし、この深響洞のメンバーは、素晴らしい演奏を披露してくれました。バッハのアリアのような流れるような低音ハーモニーからジャズまで、楽しませてもらいました。どんな演奏だったか……音楽は言葉で表せないのが残念です。「色モノ」では無く、オーケストラとは違う、音……じゃないな「響き」の深さを味わえる、別の美味しさとでもいいましょうか。

バッハのアリアも良かったけれど、個人的に気に入ったのがモーツアルトの「Ave Verum Corpus」でした。合唱で良く歌われる宗教曲ですが、和音の美しさだけでなく、抑制を効かせた「ハーモニーの上澄み」だけを音にしなければいけないという、真面目に歌うと難しい曲でもあります。この曲を深響洞メンバーは、「響き」の深さを保ちながら、気品のあるハーモニーで極上の雰囲気に仕立て上げました。さすがプロです。

とはいえ、この音楽を作り出すためには、演奏者としての実力はもちろん必要ですが、編曲や解釈(作曲者の行間を読み実際の演奏方法に落とし込むいう感じでしょうか)が低質では実現できません。
今回演奏された曲の大部分で、その重要な編曲や解釈(「校訂」と言うらしい)をされたのは、故「速見和東」氏です。彼を横浜FCサポは「だーびっつ」さんと呼んでいました。


「だーびっつ」さんがお亡くなりになって、はや半年となります。早すぎる死ではありましたが、彼は「深響洞」という新しい試みと、その素晴らしい演奏の「設計図」である「楽譜」を音楽界に残しました。
彼が使っていたコントラバスを見ながら、そして彼が編曲した曲の演奏を聴きながら、「私には残せるモノがないよな」なんて、ちょっとした嫉妬と羨望を感じながら、今更ながら「だーびっつ」さんの存在の大きさを感じながら、そして思い出をかみしめながら、素晴らしい音楽に心を洗われながら、このメモリアルコンサートを楽しませていただきました。

だーびっつさん、ありがとうございました。

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コメント

コンサートも終わったし。。。
なかなか決められないルイスに、ゴールを割らせてやるか。
まだまだ1点では、安心できないな。
キタムの宇宙開発系のシュートも、落として枠へ向けてくれましたね。
これからも、神の手をよろしく。。。。

投稿: M | 2006.04.29 20:24

普通は「安らかに~」と言うのですが(笑)。「忙しい」と言いながら嬉しそうな顔が見えるようです。。。

投稿: | 2006.04.29 23:41

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