« やっぱり当面は原子力発電が必要……の補足 | トップページ | 横浜vs町田(観戦後) »

放射能物質と対策レベル

>#次は、放射性物質について、書ければいいなあ
書いてから約4ヶ月。やっと少し時間が取れました。

ホットスポットだの除染だのと、注目を浴びる放射性物質。AERAあたりを読むと、殆ど「悪魔のウイルス」扱いで、少しでも触れたら死ぬよ?みたいな雰囲気すら。
一方で「健康によい」という学者もいたりして、何が何だか状態です。
原発近辺はいろいろあるのでしょうが、それ以外の地域ではもう少しロジカルに考えられないのでしょうか。

○外部被曝と健康被害

外部被曝に限定して、素人の理解で単純化すると、
  ①放射線は小さな銃弾みたいなもので、細胞に当たると物理的に細胞やDNAが破壊される。
  ②生物には修復機能が備わっているが、修復しきれない場合は癌の発症に至る可能性がある。

という感じでしょうか。
放射線量が多ければベータ熱傷とか、原子爆弾だと爆風・熱風による致死もありますが、この場合は無視して良いでしょう。

100ミリシーベルト(mSv)以下での健康被害については、臨床的な立証がないようですね。
何処まで低ければ健康被害が0となるのかが議論のポイントの一つですが、「生物の修復機能」が結果を分けるのであれば、修復機能で対応可能な「閾値」がその基準となりそうです。個人的には、(急に有名になった)イランのラムサールやブラジルのグァラパリでは自然放射線が年間10mSvという事を考えると、閾値は10mSvより大きいポイントだろうと想像するのですが、どうでしょう。
また、世界平均の自然放射線は2.4mSvですので、日本の約1mSvという現状からは、単純計算上はまだ1.4mSv程度の余裕があるとも言えそうです。

仮に、健康被害があったとして、その被害レベルが次のポイントですね。
専門家の間では、100mSvの場合で発がん発生率が0.5%上昇することがコンセンサスのようです。50%が50.5%になる、というイメージでしょうか。
内閣府の有識者会議が報告した「20mSv」だと、(閾値ではなく安全側に倒した)比例方式(LNT)で考えても0.1%(=0.5%×(20mSv÷100mSv))ですので、喫煙や大量飲酒、肥満・やせ・運動不足、高塩分や野菜不足はもちろんのこと、受動喫煙に比べても低いようです。(参考:国立がん研究センター・PDF
但し、乳幼児や小学生あたりは格段の配慮が必要なのでしょう。


○外部被曝対策のコスト

さて、ではこの状況の対策に、どれくらいコストを掛けるべきなのでしょうか。
それは、対策の目的を何にするか、によって大幅に変わってきそうです。

精神面・心情面の完全対応、つまり全ての住民が納得するという対策が、最高額になりそうです。
朝日新聞の記事には「自治体が住民の安心のために徹底した除染を行えば、請求額は数十兆円規模」とあります。具体的には「原子力資料情報室の伴英幸共同代表が放射性物質の飛散状況を基に、広域的な除染費用は28兆円になると試算」ってことなので、「ある人の試算」でしかないですけどね。
その試算が正しいとしても、この手の話はゼロイチでは納得されないので、自治体としてはグレーゾーンも対応せざるを得ないでしょう。悪いことにグレーゾーンは広大でかつ人口密集地も多いですから、要望通り対応すると倍以上、50兆円規模以上になるんじゃないでしょうか。除染土などの処理問題もあります。

東電の責任!と声高に叫んだところで、株主責任を取らせるにしても今や時価総額が3000億円弱しかありません(取らせるには遅すぎました)。東電の資産も中心は発電・送電用ですし、コスト削減や資産切り売りで浮いた金もまずは廃炉コストや(直接的な)損害賠償に充当されます。
結局のところ、この除染費用は、大部分が回り回って「我々が」負担することになります。税金や電気料金、国債の形で。どらえもんのポッケから、ではありません。
50兆円規模だと、単純計算で消費税(1%当たり2.5兆円換算)で20%分。まあ1年で、というわけではないでしょうが、かといって「住民の納得」という観点から言えば10年といった期間は許容されないでしょう。もちろんこの負担は、現在問題となっている社会保障費などの膨大な支出に加えて、の話です。現在検討されている増税後の10%(これでもプライマリバランスは赤字ですが)に加え、2年回収ならプラス10%です。

その膨大なコストを費やして得られるものは何でしょうか。安心料にしては高すぎないでしょうか?


○外部被曝対策としての除染は、安心ではなく比較安全の確保を目的に

外部被曝は避けるべきですが、世の中には放射線以外の健康被害要因も沢山あります。
他の要因の健康被害が0にならない以上、放射線の健康被害を完全に0にするために多大なコストを掛けるのは意味がありません。
それらの要因と比較して、相対的な安全性を確保するという対策に絞るべきだと思います。
基本的には基準による線引きでしょうが、基準を超えていたとしても、そこが人が長時間滞在せず、内部被曝への影響もほとんどないなら、除染対象から当面除外するという考え方もあるでしょう。逆に保育所・幼稚園周辺であれば基準内でも除染対象とするのもあり、だと思います。

そして「安心料」は、もっと全体的な、実質的な、改善に使えないでしょうか。
例えば、乳幼児の健康被害の面で言えば、乳幼児の緊急医療体制や産婦人科不足対応にお金を回した方が、結果として効果があるのでは?。あるいはその金で、乳幼児の医療費助成制度を維持することができるかもしれません。日本で遅れているワクチンの充実なんてのも、コストはかかりますが有効です。さらに生ワクチンは不活性ものに替えたいところ。また、保育所や幼稚園の充実、税金で持って行かれる分を生活環境・食生活の向上、といった選択も、乳幼児の健康維持や成長に好影響を与えるでしょう。

得体の知れないものだから何が何でも除去する、という感覚もわかりますが、リスクの大きさと対策コスト、そしてその効果を勘案し、よりよい選択肢を選べるようなロジカルな視点を持つことが重要ではないでしょうか。 世の中、「やった方が良いこと」より「やれること」の方が必ず少ないのです。
ただでさえ我々大人は、子供達から多額のお金を前借り(膨大な国債発行)をしているのですから。

#まとまりがなくてすみません。

|

« やっぱり当面は原子力発電が必要……の補足 | トップページ | 横浜vs町田(観戦後) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92399/53569531

この記事へのトラックバック一覧です: 放射能物質と対策レベル:

« やっぱり当面は原子力発電が必要……の補足 | トップページ | 横浜vs町田(観戦後) »